リスペクトのある、おフザケ感。
奥田民生について、たまたまラジオで流れてたインタビューを聞き、近年はネット上を中心にした活動をしているのを知り、そう言えばアーティストの核心を突く文章を書く音楽評論家・小貫信昭さんの本「歌のなかの言葉の魔法」というの中でも触れられてたのをを思い出し読み直してみた。
TOKYO FM「空想メディア」
この境地になるのに、何周廻ったのか?
“奥田民生は曲を「歌詞重視で評価する風潮」に対して、昔から反旗を翻しつつも、ギリギリのところで作詞活動をしてきた。詞を書くこと自体にアンチなのではなく、詞に力点を置かずとも、音楽の感動は必ず伝わるのだと、そう信じて最低限の言語表現を自らの音楽性の中に加えつつ今日まで邁進してきた人なのだ。それはよく僕も知っているし、実際、彼に会って、その想いを直接聞いたこともあるのだった。”
と書かれている。(なかなか読み進むに興味深い本です。)
彼が井上陽水と仲がいいのも、なにか二人に共通してる世界観があるように思ってたら、小貫さんもこの本の中で同じことを思われてたようだ。
適当なデタラメ感のある日本語を並べながら、全体を通して見てみると、なんとなくニュアンスでわかったような気になるというのが二人の共通点。
「マシマロ」という何のことかわからない曲は、そんな民生ワールドが繰り広げられてる気がすると紹介されてた。
陽水の歌詞に出てくる「風あざみ」とか「白のパンダが」とか、「イライザ・ブルーの青いシャドウ」とか、わかったような・わからんような造語と同じ。
「イージュー★ライダー」という曲がある。
この曲はイージーライダーのダジャレかと思いきや、ギョウカイ用語でイージューはE10とは、C・D・E(ド・レ・ミ)のEは3という意味で使われるのでE10は30という意味になる。ちなにに、40はF10(エフジュー) 、50はG10(ゲージュー)
小貫さんはこの曲についても、彼は30代の自分から逃げも隠れもしない、この歌には彼の本音が見え隠れしていると想うのだが、どうだろうか。
と書いている。
そういう心境なのかと思って曲を聴くと、妙に納得。
奥田民生 『イージュー★ライダー』
リスペクトを込めたおフザケ感に、腕を感じる。
ほかにも、ホンダのCM曲として流れてた「And I love Car」も、ビートルズの「And I Love Her」が元ネタのはず。
イントロのコードが「 I Want To Hold Your Hand 」っぽいのが聴こえる手口も「ハクション大魔王」と一緒なのでごじゃる。
そのうえ「And I Love Car」って曲は、
♪ 車はあくまでも 快適に暮らす道具
♪ 車に乗らないと いけないワケではないぜ Yeah~
♪ だけど 好きなんだ いいだろ こんなにも 愛しているよ
♪ And I love car この気持ちを 歌うんだ 君と僕の歌を
♪ だから何ででも いいだろ こんなにも マイっているよ
♪ And I love car この気持ちを つくるんだ 君と僕の歌を
♪ あなたの歌を 車の歌を
これって、車を恋愛に例えたRCサクセションの名曲「雨あがりの夜空に」のオマージュだと思ってしまったゼ、ベイビー!・・・、知らんけど。
RC SUCCESSSION 雨上がりの夜空に ( RHAPSODY 5/6)
♪ こんな夜に オマエに乗れないなんて
♪ こんな夜に 発射できないなんて~
自由で面白い、発信力の強いオフザケ50代。
この先どんなことをしてくれるのやら。