1周廻ってコダワリ目線

ある意味、逆にピンポン。

2020年12月20日 今朝の1枚

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明日は400年振りに木星土星が会合するグレート・コンジャクション。

いつもならクリスマスソングが響いている時期だけど、賑やかな街中にも近づかず、静かになるべく人に会わずに過ごす日々。

こんなときには刺激的な音のない、響きの豊かなアルバムを聴きたくなって、きょうはこのアルバム。

なぜかこの時期に聴くのに、ピタッとハマってる気がする。

Vladimir Shafranov Trio(ウラジミール・シャフラノフ・トリオ)『RUSSIAN  LULLABY』

RUSSIAN LULLABY

RUSSIAN LULLABY

 

名前からも分かるように、旧ソ連出身のピアニスト。1948年レニングラード生まれ。

RUSSIAN LULLABYはロシアの子守唄という意味だが、子守唄的な心地よさはあっても、アルバムの冒頭から美しいピアノの音 聴き始めると、あっという間の60分。

叙情的な美しいメロディ、グルーブ&スイングするプレイ。

個人的には哀愁あふれるクラシック曲 ショパンの「ノクターン」辺りがクライマックス。シャフラノフが好きなのは、本当に嫌な音を一つも出さないから。 

日米のJAZZ専門レーベル

大手レコード会社ではないJAZZの専門レーベルはたくさんあり、日本にも1970年代にTBM(Three Brind Mouse)というレーベルがあった。「楽しいJAZZ」「スイングするJAZZ」「創造的なJAZZ」「個性的なJAZZ」四本柱にしてモダンJAZZだけにとどまらず、フリージャズやフージョンまで幅広いカテゴリーで活躍する実力派日本人アーティストを起用。まさに世界に打って出た日本のJAZZシーンの先鋒と呼べるレーベル。

また、TBMには駄作が少ないとも言われ、またオーディオマニアにはどの盤も高音質として知られ、アルバムの中にレコーディングのマイクセッティングや録音機材のリストが添えられていた。

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90年代になって大阪は通天閣のお膝元・新世界から「自分が聴きたい作品をリリースする」という事をモットーに、主にヨーロッパJAZZの優れた音源の中から、廃盤になっていた作品の復刻や無名の実力派ミュージシャンを発掘したりと、こちらも良質な音源を多数発表している澤野工房が登場。シャフラノフのアルバムは、この澤野工房からリリースされている。多分、新世界にも何度も来ていたはずだ。

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澤野工房の本店(本社?)は、新世界の入口近くの履物屋さんの2F という、コントラストの効いた所にある。


澤野さんの口癖は「聴いて心地よかったらええやんか」ですが、心地よさへのこだわりは音源だけでなく、パッケージを開けた時に目にする“CD盤の向き”にまでこだわっていて、1枚1枚きちんと文字が読めるよう正対させて出荷していたという。「開けた時にCDが正面向いてくれてたら気持ちいいやん」というのが理由で、作品に対する愛情の深さを知った。

 

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BLUE NOTEのこだわり

もとはごく小さな会社で、経営も決して順調ではなかったが、数々の名盤をリリースできたのは、レーベル創設者ライオンのJAZZへの愛と情熱があったから。

レコード盤がSPからLPにかわり、音源がMONOからSTEREOに変わりつつあった50年代から60年代のレコーディングは、基本的にぶっつけ本番の1発録り。

数をこなそうと思えば1日に何枚分ものレコーディングも可能だけど、ライオンはレコーディング前のリハーサルに時間と予算を使った。

スタジオにはリハーサルのケータリングとして豪華な料理と酒が並び、ミュージシャンをリラックスさせて、最高の状態でレコーディングに臨んでもらったのが名盤を生みだす秘密だった。

ライアンはJAZZを愛し、JAZZミュージシャンを愛し、肌の色の違いを超えて真の友人になろうとし、常にミュージシャン側に立つプロデュサーで金儲けのための話は頑として受け入れなかったも聞く。

 

紹介したレーベル3社ともに純粋に音楽好き=JAZZ好きが講じて作られて、けっして金儲けの手段ではなかったから数多くの名盤、ミュージシャンが生まれてきたんだと思う。

TBMもBLUE NOTEも解散・倒産しているけど、そこから生まれた名盤の数々は年を経ても輝き続けている。

 

JAZZに限らず、こういう理想を掲げたレーベルはもう生まれようもない時代になってしまったのか。

昨今の音楽番組を観るにつけ、全く楽しめないのは、創り手側の熱量が“金儲け”にしかないから?ではないのかと思った。

 

 

tappanzee.hatenablog.com

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