贅沢な音楽遊びをラジオでやっちゃってる
その昔 レコーディングはお金がかかる敷居の高い作業だった
レコーディングという作業が特別なものではなくなり、少しの機材があれば自宅をスタジオに出来る時代。
そんな事ができるのをラジオ番組とYouTubeを使って本気で遊んでいる木梨憲武&所ジョージ。
毎週土曜の朝6時~TBSラジオの番組で所さんに曲を発注。
あがってきた曲を番組中にかけてアシスタントの女性アナウンサー3人に順に歌わせたりしてコレが公開の歌入れ!?
(twitter.com/kinashinokai/で見れます)
https://twitter.com/kinashinokai/status/1515108607712407552?s=20&t=Gms31MxZuXDttA54IZsj2Q
それをDTMで仕上げて配信発売するという、何ともイマ風の展開をしてる。
少しでも業界をカジッたことがある人にとっては、タブー破りでオモシロイ。
TBSのアナウンサー3人なので、他局ではOAされないしイベントに出るにも制約も多いけれど、TBSラジオの番組にはプロモーションと称してゲリラ的に出演したりして。
とにかく少しでも業界をカジッたことがある人にとってはタブー破りでオモシロイ。
曲名は「もうすぐ秋ですネェ」(作詞:作曲 所ジョージ)
1976年3月に発売されたキャンディーズの大ヒット曲「春一番」をいいようにパクってる。
リスペクトとかそんな建前話ではなく、サビ頭の曲といいイントロのギターのフレーズといい、悪びれること無くパクってそれなりにいい曲になってるので最初に聴いたときに大笑いした。
さすが所ジョージ、適当にって言いながらツボを抑えて作ってるので、オッサンにハマる曲に仕上げてる。
こういう悪ノリ音楽遊びをラジオの番組でやりきって、そのままイベントもやっちゃう木梨は流石。
わかった上で、オトナや業界のお約束は後回しにして動いちゃうのがとんねるず。
その精神は昔と一緒。
番組内で流れる交通情報、その交通情報キャスターと世間話をする自由さもこの番組で初めて聞いた。イベントの時は歌わせたり、ダンサーで起用したり、好き放題。
ほぼ同年代で、とにかくメディアの遊び方を知り尽くした人が、時代が令和になってもその時代に合わせて好き放題している。
こういう本気で遊ぶ還暦オヤジを見ていると、今のバラエティに出てる小粒な芸人では全く敵わないと思ってしまう。
さぁ、今日はどんな展開になってるのでしょうか。
2022年6月26日 今朝の1枚
一気に蒸し暑くなり、6月なのに気温が40℃を超える異常気象。
もう異常でもなく当たり前になってきているのかもしれません。
ここから3ヶ月は猛暑と対峙しなくてはいけないと思うとそれだけで疲れそう。
山下達郎が11年ぶりのアルバムを発売したので、あちこちのラジオに出て面白い話もたくさん聞けたので、今日は名盤『FOR YOU』にしようかなとも思っていたところに、きのういいアルバムに出逢ったので急遽差し替え。
個人的には、山下達郎を聴くと高校3年の学園祭がつながってくる。
学園祭の時は『RIDE ON TIME』だったけれど、そのアルバムのヒットによってレコーディングが贅沢に出来る環境になり、思いっきりやりたいことを詰め込んで創り上げたアルバムが『FOR YOU』。
アナログ・レコーディングの頂点を極めたような出来だ。
というような事を書こうかなとイメージしていたけど、大好きなベーシスト スコット・ラファロがビル・エヴァンス・トリオに参加する2年前のセッションアルバムを聴いたら気が変わって今日はこっちを紹介することにした。
21歳のラファロ、力強い音色 卓越したベース・ワークは、すでに天才
BEVERLY KELLY『 SINGS』 (Recorded in Chicago, 1957)
いまはベヴァリー・ケリーとクレジットされているが、昔のアルバムではベブ・ケリーもしくはべヴ・ケリーと表記されていた。
少しハスキー気味で切れのいい小粋な唄い方がオトナっぽい。スウィンギーな曲などはどこかアニタ・オデイに似た感じもする彼女は当時23歳。
スコット・ラファロは21歳。
昔はみんな早熟だった!?
Beverly Kelly(vo)
Pat Moran(p)
Scott LaFaro(b)
Johnny Whited(ds)
ちょうどこの頃の全く無名なラファロの名盤と言えばコレ。
ピアノは同じPat Moranで『Cool Struttin'』と並ぶ美脚ジャケットとラファロのベースを堪能できるアルバム。
BEVERLY KELLY『 SINGS』はケリーの情熱的なヴォーカルに惹かれ『This Is Pat Moran』よりも好みだった。
どちらのアルバムもピアノは女性ピアニストのPat Moran。
収録曲もスタンダードが中心で聴きやすいが、MONOを強引にSTEREOにしているのでR-chにVoとベースというなかなか聴きにくいアルバム。
オリジナルのMONO盤が手に入るのなら手に入れたいけれど、コレクターズアイテムになっているようで結構高そう。
ビル・エバンス・トリオに参加する約2年前のセッション。
力強い音色と躍動するウォーキング・ベース。
ベーシストとして19歳〜25歳まで、わずか6年間という短いキャリアのスコット・ラファロ。すでにこの頃にはスタイルが完成していたようでビル・エヴァンス・トリオ時代よりも夭折の天才が「歌う」ベースラインを堪能できるアルバム。
本人もこのアルバムの演奏が一番と言っていたとか。
軽やかに弾むベースとべヴの唄声の絡み方が素晴らしく、ビル・エヴァンス時代よりもこの時期のほうが前へ前へ、みんなと絡んでという意識が強いのか、ピアノトリオのバッキングには収まらない演奏を繰り広げている。
ベースという楽器にこれ以上ない官能的な美しさと独特の求心力を発揮させたのは彼の偉大な功績だ。
スタン・ゲッツとニューポートのステージに立った3日後の1961年7月6日、自動車事故で帰らぬ人になった。
2022年6月19日 今朝の1枚
梅雨入りした途端、湿度があがり今まで爽やかに吹いていた風がジトッとまとわりつく様になり不快指数が急上昇中。
肌感の不快指数が上昇すると、気分的な不快指数も一緒に上昇中するようだ。
オマージュのかけらもなく、モノマネにもなってないようなような作品を見てしまったのでサウナに直行。とにかく汗をかき何度も水風呂に入って気分転換。
不快指数を下げてくれる名盤
こんな気分を引きずるのも嫌なので気分転換には本物を聴こうと、今朝の1枚はコレ。
Nat King Cole『After Midnight』 1956年8~9月、Hollywoodで録音
ナット・キング・コールの出発点はジャズ・ピアニスト。
ポップスよりの作品を唄いヒットを飛ばしていたコールが、原点のピアノ&ヴォーカルに立ち戻り、さすが自分の唄声に響くピアノをプレイ。
シンプルなのに音を選んだ正確なタッチの弾き回しは「小粋で流麗」
甘くハートフルで柔らかいヴォーカルは、時にビターで芯が1本通っている。
息のあったスイング感 溢れるプレイは聴いていてとてもHappyな気分にさせてくれ、選曲もスタンダードが多いので思わずヴォリュームも上がり気味に。
モヤッとした気分を切り替えるにはピッタリな1枚だと言える。
昔は二足の草鞋を履くミュージシャンはたくさんいた!?
異なる楽器を操る二足の草鞋でいうと「サックスとフルート」が突出して多い印象だけれど一般的にジャズ界での二足の草鞋というと「楽器とヴォーカル」になる。
二足の草鞋は令和風に言うと「二刀流」!? 「ピアノとヴォーカル」「トランペットとヴォーカル」が多く、エンゼルスの大谷選手のように二刀流のどちらもが超一流となるとなかなかいない印象だ。
ナット・キング・コールは1919年生まれ。1930年代にスイングジャズのピアニストとして活躍していた中、1944年歌手として唄った「Straighten Up and Fly Right」がヒットし、それ以降二刀流ジャズミュージシャンとして大活躍する。
ナット・キング・コールは音楽以外でも、今尚問題となっている人種差別主義を超越した先駆者でもあり、1958年それまで白人だけだったテレビのホスト役をアフリカ系アメリカ人として初めて務め注目を集めた。
1965年2月にサンタモニカの病院で肺がんで逝去。45歳という若さだった。
前年の1964年にレコーディングした「L-O-V-E」が最後のヒット曲になった。
この曲はのちに娘のナタリー・コールが現代のレコーディング技術を駆使して世紀のヴァーチャルデュエットを実現し、グラミー賞主要部門を独占した。
こうやって本物を聴いていたら気分が良くなってきた。
今日も楽しんでいこう!
2022年5月5日 こどもの日 今朝の1枚
暑くも寒くもなく、湿度も低く、花が咲き若葉が芽吹く1年で一番気持ちのいい時期。
こんなワクワク感のある時期にピッタリ。
3年ぶりの行動制限のないGWとなり、あちこちですごい人出になっている。
反動で感染急拡大にならなければいいと願うばかり。
GWに入る頃から夜明け前の東の空で繰り広げられている金星と木星のランデブー。
今朝も4:30に並んで見えました。
ラテン風味で疾走する熱いジャズ。
ルー・ドナルドソンは4年前に現役を引退されてるようだが現在96歳、92歳の誕生日(2018年11月1日)が最後のライブだったそうで、ジャズ界の最年長記録なのではないだろうか。マイルス、コルトレーンと同い年というから生きるレジェンドだ。
そのルーさんのFunkyでGroovyな思わず体が揺れるようなアルバム。さすが、Groove Masterと言われるだけのことはある。
Lou Donaldson Light-Foot 1958年12月14日ニュージャージー レコーディング
Lou Donaldson (as)
Herman Foster (p)
Peck Morrison (b)
Jimmy Wormworth (ds)
Ray Barretto (congas)
このアルバムではバレットのコンガの存在が、ファンキーな演奏にポップな雰囲気が加わりアルバム全体を躍動感のあるファンキー・ジャズに仕上げている。
ちなみにスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトと共演したBossa Jazz アルバム『GETZ/GILBERTO』が大ヒットしたのは1962。その4年前にこのサウンドを聴いた人たちはさぞや新しく聴こえただろう。
明るくハッピーな吹きっぷりが実に爽快、気持ちが明るくなるアルバム。
1曲目のタイトル曲「Light-Foot」=「軽い足取りで」そのままに、スピーディな熱気がこのアルバムの勢いを象徴している。
この曲を聴くだけで、この季節特有の爽快感を感じられる。
ただ、日本の口煩いJAZZファンからはこのコンガがお気に召さないようで、評価が低い。
3曲目の「Mary Ann」は1956年 レイ・チャールズのヒット曲のカバー。
元曲はコレ
Lou Donaldson のヴァージョンはコレ
コンガの小刻みなビートがリズム隊を煽るような感じで、その上をルーさんのSAXが流れるようなフレージングで進んでいき明らかにオリジナルよりも洗練されている。
曲中のコンガ・ソロの前後など聴いていると一瞬「ナベサダ?」と思うようなサウンド。
ルーさんのアルバムはコレ以外にもGroovyで明るく楽しく聴けるノリの良いアルバムが多く、JazzというよりはSoulやFunk系のようで、これからの時期かしこまってではなく「ながら」で聴く機会が増えそう。
この気軽に聴ける感じがいい。
新緑の季節、外を歩きながら少し大きめの音で楽しみたい。
ルーさん、コロナに負けずに元気で長生きしてください。
2022年4月17日 今朝の1枚
今日は満月・ピンクムーンです。(写真は昨日の夕方18:40)
桜の季節も過ぎ気温も20℃前後、カラッとして1年の中で一番気持ちのいいシーズンに突入。こんな陽気の中で聴きたいなと思ったのがサンフランシスコ出身の女性だけ5人で編成されたAlive。
サンフランシスコ出身の女性5人のレディ・ジャズ・ユニットAlive
今では珍しくない女性だけのバンドだけれど、全ジャンルを見渡しても当時はとても少なかった。
女性のみで編成されていながらアグレッシブでグルーヴ感溢れるパフォーマンス、ジャズとブラジリアンをしなやかにクロスオーヴァーさせていて90年代に入ってクラブ・ジャズシーンからも高い評価を受けてきた。
1979年にデビューし、通算3枚のアルバムを発表。
このアルバムは1982年の発売で彼女たちのラストアルバムとなる3作目にあたる。
LP盤ではなくCDで再発売された時に3枚とも買っておいた。
90年代 クラブ・ジャズ・シーンのスーパー・キラーとして愛聴された永遠のマスターピース!
このアルバムに収録されている「Skindo Le Le」は90年代のクラブシーンで大ヒット。
様々なヴァージョンがある「Skindo Le Le」の中でもAliveヴァージョンはBPMも高めで躍動的。強力なサンバのリズム、ブレイクも決まりパーカッション・ソロも入っていて一番好きなヴァージョン。
オリジナルはアメリカ在住ブラジル人フュージョン・グループのViva Brasil
この曲は女性ヴォーカルが似合うと思うのでViva Brasilヴァージョンは何かピンときません。
ちなみに、「SKINDO LE LE」は、1981年の時に買った阿川泰子アルバム『SUNGLOW』に入っていた曲で、Aliveを聴く前からこの曲は知っていたし、この曲を聴いたことでラテンフュージョンが好きになったよ言ってもいいくらい印象的な曲だった。
『SUNGLOW』は松岡直也プロデュースで、アレンジとキーボードも担当。
前年の1980年に発表されたアルバムに入っていたこの曲を、いち早くカバーしている辺りは流石。この曲の人気に火をつけたのが、阿川のあとにカバーしたのがAliveだったというのは後に知った。
阿川は1982年にViva Brasilと一緒にコンサートも行っていて、その模様がYouTubeにも上がっていた。
全部見続けるのがツライかも・・・
このアルバムには「SKINDO LE LE」のほかにも、ボッサ・ジャズ調の「Afreaka」やスウィンギーなサウンドにフリースタイルの高速スキャットが乗る「Four」などカラフルな曲が並んでいる。
高い演奏力を持つ、彼女たちがクリエイトしたサウンドは時代を超えて輝きを放っている。
1stアルバムはLo-Fiで録音があまり良くはないけれど、すごく自由な感じでジャケットで見せている彼女たちの屈託のない笑顔が、これから始まりそうなワクワク感を表しているようで、すごく楽しそうに感じるアルバム。
1曲目からジャズとブラジリアンをクロスオーヴァーさせた「Somebody's Talkin' To You」や、アカペラで始まりパーカッション&サンバホイッスルなどが重なりグルーヴィーなサウンドになっていく「City Life」など名曲揃いでブラジリアン・フレーヴァー溢れる名盤。