2021年5月30日、今朝の1枚
イギリスが誇る謎のシンガーソングライター&コメディアン
“大英帝国の秘宝、ロンドンのジョアン・ジルベルトことイギリスが誇る謎のシンガーソングライター&コメディアン。今宵も生かしたジェントル・ヴォイスで大人の夜は更けていく・・・” と、アルバムの帯に書かれている。
名前を聞いても全く知らない人だし、眉唾全開の帯のコピーを信じてハズレを覚悟で聴いてみた。
Bossa Britanica〜アール・オキンの眠れぬ夜のボサノバ〜/Earl Okin 1999年
もうちょっと洗練された言い回しだったらもっと評判になったろうと思うくらい、これはなかなか素晴らしいアルバムだった。
1曲目を聴くと「なるほど、ロンドンのJoao Gilbertoと呼びたくなるのがわかった。
アルバム収録曲はボサノヴァやスタンダード曲のカバーが6曲、オリジナルが10曲。
ジェントル・ヴォイス、曲によってはChet Bakerを彷彿とさせるようにも聴こえる。
調べるとEarl Okinは1947年イングランド南東部サリーの生まれのシンガー・ソングライター&コメディアン。
ジェントル・ヴォイスと下世話なジョークで笑わせるのがスタイルのようだ。
Okinのマウス・トランペットは、遊びの域ではなくこれは立派な楽器。
口笛のうまい人は知ってたけど、マウス・トランペットでうまいと思ったのは初めて。
1980年代、ポールマッカートニーに認められていた。
1967年にはAbbey Roadで1stシングルを録音。ソングライティングの能力を買われ、当時ビートルズの出版社に所属し作曲家として活動。
1979年にはPaul Mccartney & Wingsの全英ツアーで、ライブの前座としてツアーに参加。
ポールは彼の卓越した作曲センスと呟くように歌うヴォーカルスタイルを評価したらしい。
その後は人気TV番組に出演し、コメディアンとして人気を博するようになった。
このアルバムではコメディアンとしての一面は全く無く、すごく心地の良い空気が流れている。ボサノヴァのスタンダート曲だと勘違いするくらいの出色な作品も多く、当たりな1枚だった。
Okinオリジナルでは1曲目「Madrugada (Spirit of Dawn)」3曲目の「Bahia」10曲目「Love and Roses」11曲目「Here's Tomorrow」
本家ジョビンのカバー曲 5曲目 「O Grande Amor」はマウス・トラペットが聴きどころ。
最後ボーナストラックとして収録されている「Yesterday's Wine」は名曲。
こういう素敵なアルバムに出会えるとHappyな気分になれる。
ちょい聴きならこちらでどうぞ。
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/JZ120507-57