1周廻ってコダワリ目線

ある意味、逆にピンポン。

音楽は鑑賞せずに聴き流す時代

僕の育ってきた時代は、小学校の高学年でスーパーカー・ブームが到来。フェラーリランボルギーニという言葉を覚え、中学〜高校時代にはオーディオ・ブームの洗礼を受け、オーディオ好きが講じて電気街の日本橋のオーディオ専門店で週末バイトを始めた高校時代のことは以前書いた通り。

僕よりも少し上の世代は、FM放送のエアチェックを仰々しくオープンリールを使って録ってた人も居たが、僕らの世代になってカセットで録る音質も向上したのと、レンタル・レコードが台頭してきた事もあってカセットテープが主流になった。FMの音質を少しでも良くするために、アンテナを付けたりケーブルを太いモノに変えたりと、少しでもいい音でカセットに録りたくて努力したのでした。

趣味といえば、音楽鑑賞と書いた時代。

1979年のウォークマンの登場前は、音楽は家でステレオの前に座って聴くものだった。趣味といえば男も女も「音楽鑑賞」と書いてたら良かった時代。

映画と一緒で「鑑賞」とは場所と時間を縛られて、じっくりとその世界に浸るから鑑賞だったのでしょう。

映画がビデオやDVDで家で自由に見れるようになる前に、先に自由になったのが音楽だった。ウォークマンの登場でカセットテープに入れた音楽を、いつでも・どこでも、好きなシチュエーションで聴くことができる = ということは、音楽を持って機械の前から離れられる = 外に出られるという自由を与えてもらった。

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 映画「フットルース」の主人公も象徴的にウォークマンを聴いてる。

 

ウォークマンは世界的に大ヒットし、カセットからCD、MDに進化して、その先にスティーブ・ジョブズiPodを登場させ、音楽はメディアに固定されたものではなく配信が主流になっていく。

ただ、どこでも聴けるようになることで音楽は「鑑賞」ではなく「聴き流す」ものになった気がする。

特にiPodの登場以降はその傾向は強まったと思う。」

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持ち運べない音楽を聴く、という贅沢な時間。

LPにあって、CD以降に無いもの。

これはA面、B面という片面25分  5〜6曲のストーリー。

時間の制約のある中で構成を考え、盤をひっくり返すという一手間が良かったのか面倒くさかったのか・・・。

片面30分弱という時間は、集中して聴くには丁度いい時間とも思えた。

チリチリというスクラッチ・ノイズもLPならでは。

また、30cm四方のジャケットも、アート表現するには丁度いい大きさだ。CDはLPと違って、飾るには小さいんですよね。

キレイなInstagramを見る度に、このスクエア感はLPジャケットを見る景色と似てるなと思ってしまう。

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色々な聴き方をしてきたけど、いつでもどこでも聴ける0と1のオンオフ信号で記録されているデジタルメディア(CD)と違い、高音は大きく低音は小さく録音されたLP版に掘られた溝から、磁石とコイルを組み合わせた針先で拾った小さな信号を、専用の回路を何回も通して信号を増幅してようやく音になるのがアナログ盤の音。

わざわざステレオの前で聴くという贅沢な時間も、年とともに楽しさが戻ってきた。

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図書に例えるなら、LP盤は装丁や紙質にもコダワリを出せるハードカバー本。CDは文庫本。嵩張らないし、扱いを雑にしても大丈夫。配信された音楽は雑誌や新聞。同じアルバムでもLP盤とCDと配信の音楽ってこんな差に感じません?

iPodならではの聴き方の提案。

CDになって74分を一気に聴くことができるようになり、曲順などの構成方法も変わっていったように思う。

クラシック愛好家には、この一気聴きの長さはいい方向で受け入れられたんでしょうが、個人的には連続して1枚聴くのは今でもしんどい。

あと、CDになって気に入らない曲を飛ばす事が増えた。

LP時代は盤に傷がつくかもしれず、曲の頭に針を落とすのが面倒なので、飛ばして聴くことは少なかった。

iPodになって、自分が入れた膨大な曲の中から、機械がある基準に従って曲順を提案してくれるシャッフルという機能が追加された。最初は「ナニソレ」って感じだったけど、最近はこの機能こそiPodだと思うようになってきた。アナログでは絶対にできない技だ。

 

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