1周廻ってコダワリ目線

ある意味、逆にピンポン。

8月1日は、阿久悠さんの命日。

81日は2007年に阿久悠さんが逝去された日なんですね。

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阿久悠さんと言えば1回も直接お会いできずでしたが、ひょっとしたらスタジオに来られるかもという事がありました。

この曲のレコーディングの時のことです。

1998年4月発売の「月の盃」

作詞:阿久悠 作曲:吉田拓郎 編曲:吉田建

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神楽坂の高級そうな焼き鳥屋さんで石川さんから曲の依頼を受け、この曲を創ることになり、詞先で曲を書く拓郎さんが詞を預かってデモを創ってその曲を吉田建さんに渡してアレンジしてもらってレコーディングに。そばで見てたことがラジオで語られ、阿久さんの本でも語られていて、個人的にとても印象深い曲。

 

このアルバムに収録されてます。

春夏

春夏

  • アーティスト:石川さゆり
  • 発売日: 1999/03/17
  • メディア: CD
 

 2018318日放送のニッポン放送「ラジオでナイト」でこの曲について語っていたので聴き直してみました。

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拓:森進一がレコード大賞を狙っってた時に、某TV局で阿久悠さんと出逢った。記憶は曖昧だが多分、阿久さんの事務所でイキガッた若者がカッコつけて、阿久さんも嫌な若者だと思ってたかも。お酒がイッパイ出てきて、番組の収録をしながらお酒を呑むということになって、ウィスキーをガバガバ呑んでしまって何を話したのかよく覚えてない。その後、あまりお会いすることもなかったが、次に遭ったのが石野真子のデビュー曲「狼なんか怖くない」を頼まれた時。これが阿久悠との初めての仕事で、アルバムの中の「私の首領」の作曲もした。

(この辺りのことは、http://www.tapthepop.net/song/53531

そのあとは随分経ってから林部智史の「この街」や、小林旭の「ハーモニカの詩」も書いた。そして石川さゆりの「月の盃」

拓:詞を見た時に「色っぽいいい詞だなぁ」という感想をもって、どういう風な曲にしようかと思いながら、当時フジテレビの番組「LOVE LOVE愛してる」で共演していたベーシスト吉田建に、「HIPHOPみたいな感じでアレンジのアプローチしてみてよと」依頼して出来上がった。


月の盃 石川さゆり

石川さゆりさんは、唄がうまいのでHIPHOP風のアレンジでも軽々と唄いこなしてますね。いい曲だと思うんですけど、全くヒットしませんでした。

 

阿久悠さんの「なぜか売れなかった ぼくの愛しい歌 」という本があって、この中で阿久悠自身で思いを書いている。

なぜか売れなかったぼくの愛しい歌 (河出文庫)

なぜか売れなかったぼくの愛しい歌 (河出文庫)

  • 作者:阿久 悠
  • 発売日: 2008/07/04
  • メディア: 文庫
 

悠:加藤和彦吉田拓郎も、ぼくと違う場所から作家スタートしている。ぼくも伝統的な 流行歌とは全く違う生まれ育ちの異端児、鬼っ子だと思っているが、そのぼくと彼らと はまた違うのである。

  作家としての本人たちは、それほど異質を感じていないはずなのだが、加藤和彦ファ ンにとっても、吉田拓郎シンパにとっても、作詞家阿久悠はどこか「敵」と思えるところがあった。純粋に作家同士の興味で組んでみたいと考えても、「裏切者」といわれか ねない空気があったようである。

~中略~

その後も、折々に作曲家吉田拓郎を思い出し、お願いしている。大ヒットには至らな かったが、小林旭の「ハーモニカの詩」、石川さゆりの「月の盃」等、ともに非常に好きな歌である。

 

拓郎はラジオで、「今聴くといい曲だったのに、なんでヒットしなかったのかなぁ」と笑ってたが、作品力だけでヒットはしないものなんですね。

「ヒット曲というのは市場と創り手側のマッチングがピタッと来てこそ大ヒットするのであって、なかなかそういう風には噛み合わないもんなんだ」とも言ってた。

科学できないのがヒット曲の創り方。

 

阿久悠さんの本には、この続きは作詞:阿久悠 作曲:加藤和彦「純情」について書かれている。この話も面白いのだが、興味のある方はぜひ本で読んでください。

 

もしあの時に阿久悠さんがスタジオに来られていて、レコーディング終わりにご一緒できていたら、どんな話が聞けたのかと思うと本当に残念でした。

 

 

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