2020年12月6日 今朝の1枚
師走に入り、例年だとX’masソングがあちこちから聴こえてきて、何かワクワクした気分にさせられる時期だが、今年は自粛ムード全開で静かな師走になりそうだ。
今年も4年前に大神神社でもらってきたマンリョウに真っ赤な実がたくさんついた。
今朝の1枚は、タバスコ・ジャケットが印象的な
Cal Tjader『SOUL SAUCE』
90年代のジャズムーヴメントを経験していなければ出会えなかったと思うアルバム。
ラテン・ジャズ・ヴァイブ奏者 カル・ジェイダーは、以外にもサンフランシスコ出身。若い頃はドラマーとしてならしたそうで、ピアノやパーカッションもこなす器用な人。20代にNYでラテン・クラブに足を運ぶようになり、それ以後モンゴ・サンタマリアと出会ったりしてラテン・ジャズに浸っていった。
このアルバムはVerveレーベル時代のアルバムで、ブーガルーやマンボ、サンバチックな曲が散りばめられ、1時間で4曲録ったという逸話もあるくらい、脂の乗り切った頃のアルバム。
参加ミュージシャンもトランペットにドナルド・バード、ギター ケニー・バレル テナーサックスはジミー・ヒース、パーカッションはウィリー・ボボと豪華なメンバー。レコーディングはニューヨークA&Rスタジオ&ニュージャージーのヴァン・ゲルダー・スタジオで行われた。
1965年には当時のラテンブームもあってかシングルカットもされていて、スマッシュヒットしたそうだ。
鑑賞の対象から体を揺らせる音楽へ
今から30年近く前、ACID JAZZを発端にしたジャズムーヴメントにのっかり、DJぽい事を遊びでしていた頃。
鑑賞の対象だったJAZZが、CLUBでプレイされることになり、全く新しい価値観を持つ音楽になった。いわゆる踊れるJAZZという新ジャンル。
JAZZのアルバムに演奏の出来や録音の良し悪しでお墨付きをつけてきたSJ誌とかではなく、FREEペーパーやCLUB DJのコラムなどが この全く新しいJAZZへの情報源だった。いかに脚を止めさせないグルーヴ感のある曲なのかというのが新しい基準。
さながらレコード店巡りはトレジャーハンター
販売はCDばかりの時代になってたが、まだCDを使ってDJできる機械も普及してなくて、FREEペーパーやDJが紹介していたレコードを求めて中古レコード店へ行き、“エサ箱”という名のレコードが陳列されている箱から、昔とった杵柄で両手を交互に使って
“パッパッパッ~っとちょっと持ち上げてジャケットを見てはお目当てのものかどうかをコンマ何秒で見極めていく”
という何ともマニアックな行為を何店も巡ってやっていた。
今まで1枚100円とか200円だった中古盤が、ものによっては数千円に値上がりしていた。数千枚しかプレスしてないようなアルバムは流通も少なく、たまに“おっ!!”っというのを見つけると“救出”という名で買っていた。
ちょうどこの時期あたりから、ちょっとした飲み屋にもレコード・プレーヤーが2台置かれて、BGM代わりにレコードをかけて遊んでいる店が増えた。
そんなお遊びDJをする中で、よくオープニングにかけた曲が
Cal Tjader『I Showed Them』 1964年
この曲はCOOLなイントロから始まり、曲が進むにつれてダンサブルな展開になっていく。
本来なら明るく涼しげに響くヴィヴラフォンのサウンドが、この曲ではメロウで怪しいムードを漂わせていて、今聴いてもスリリングでカッコいい。
この1曲から今朝の1枚『SOUL SAUCE』にたどり着くのだが、今とは違ってYouTubeもない時代。ラジオやテレビCM、街中やお店で流れてくる音楽にも耳をそばだてて情報収集していた。
子供の頃から父親がラテン系の音楽をよく聴いていたし、いまでも
この手のサウダージ的なサウンドが好き。今でもコンガの音が好きなのは、多分この頃の刷り込みの影響かもしれない。
印象的なヴィブラフォンとコンガの音が耳について “おっ!!”と思って辿った先で出会ったのが『SOUL SAUCE』
少し贅沢なツマミとお酒を買ってきて、このアルバムをBGMにゆっくり飲むことにしよう。