2020年11月8日 今朝の1枚
目覚めたときは少し先も見えないくらい真っ白な世界だったのが、陽の出とともに靄が晴れ、どんどん青空が広がってきた。
まさしくこんな日にピッタリだと思ったのが、Miles DavisとGil Evansのコラボレーション・アルバム第1段
『Miles Ahead』
ジャズの帝王、新人と呼ばれていたの頃のアルバム。
マイルス・デイビスといえば“ジャズの帝王”の異名を取るくらいで、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、ハービー・ハンコック、キース・ジャレットなど、彼に見いだされたトップ・ミュージシャンは枚挙にいとまがない。
しか~し、マイルスと聞くだけで取っ付きにくく感じてしまってた。
例えると“味もよくわからない珍味を「美味しい」と言いながら酒で流し込むような”そんな分かったふりして聴くJAZZという印象だった。
何やら難しそうに“プッ”とか一瞬吹くだけとか、難しそうなメロディを勿体つけて吹いて、「わかる奴だけついてこい」的な孤高なミュージシャンだと思ってた。なにせJAZZの帝王と言われてる人だから。
ジャケットが秀逸、聴きたくなる気分を押してくれる。
でも、このアルバムはとても気持ちよさそうなジャケットに惹かれて聴いてみたら、1曲めから帝王感が薄く、軽~く・気持ちよく聴けた。1曲めの出だしからゴージャスな音だし、ペットじゃなくてフリューゲル・ホーンなので鼓膜を突き刺すような刺激的な音じゃなく音が柔らかいのもいい。
出たとこ勝負のセッションもJAZZの面白さだけど、アンサンブルで聴かせるJAZZは豪華で楽しく気持ちよく聴ける。
カウンター割烹でおまかせで頼むのもいいけど、ちゃんとコースとして味の変化を計算された懐石が“おしながき”を追いながらワクワクできる違いのようものか。
1曲目「Springsville」
『クールの誕生』でも共演している二人だが、さすが魔術師と言われるギル・エヴァンス。JAZZファン向けではなく、もっと幅広い大衆に向けてアレンジしたと思われるクラリネットやホルンも入れた19人編成のジャズ・オーケストラを率いて管楽器をフューチャーしたアレンジが素晴らしい。オーケストラと言ってもストリングスは入っていない。その名うてのジャズ・オーケストラをバックにマイルスが演奏者として輝き、ペットの音が本当に格好良く決まっている。
メーカーもセールスをしっかりと稼ぎたかったアルバムなんだと思った。帝王がまだ新人と紹介されている時代だから、メーカーの発言力が強かったんだろう。
レコーディングは1957年の初夏~真夏にかけてNYのColoumbia 30th Studioで行われた。『Kind Of Blue』の2年前だ。当時の最新技術を使い、一発録音ではなくオーバーダビングしたり、テープ編集もして仕上げたそうだ。
このアルバムをサントラに使った同名の映画も公開されてるので観てみるか。
多分このアルバムは『死刑台のエレベーター』のレコーディング前に制作されたはず。久しぶりにこの分厚い本の気になる所を読み進めようかな。
3年前にいただいてきた、大神神社の神樹・マンリョウの実がいっぱいついた。